ウィーンに思いを馳せる日

昨晩NHKのTV番組からウィンナーワルツが流れてきました。恒例のオーストリア国営放送によるニューイヤーコンサートの模様を衛星で伝えていたのでした。1980年から85年までの5年間、自分はウィーンにいました。ウィーン国立美術アカデミーに籍を置いていました。自分が住んでいたのは外人労働者の多い10区で、当時完成したばかりの地下鉄(Uー1)に乗ってウィーン市街の中央にやってきて、大晦日は国立歌劇場でヨハン・シュトラウスのオペラ「こうもり」を観て、元旦は楽友協会ホールでニューイヤーコンサートを聴くのが恒例になっていました。もちろん全て立ち見でホール内の鉄柵に寄りかかりながら、一流の音楽を堪能していました。このコンサートを聴きに日本からやってくる観光客のためにチケット売り場の前で並ぶアルバイトをしたこともありました。自分が20代の頃の話で、身の丈に合わない雰囲気に飲まれ、それでも感覚を研ぎ澄ましていたのを昨日のことのように思い出します。あれから20数年が経ち、ウィーンでは相変わらず素晴らしいコンサートが開かれています。あの頃の自分と現在の自分が容易に比較できる幸せを感じながら、自分はその後の日本で過ごした歳月を思わないではいられません。何が変わったのか、または変わらないのか、ウィーンに思いを馳せることの出来るこのひと時を自分は大切にしています。

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