「ウィーン工房 1903-1932」展

先日、表題の展覧会に行ってきました。場所はパナソニック電工汐留ミュージアム。この企業が経営する美術館は、企画に魅かれてよく見に出かけます。展覧会のアーカイブでは重森三玲の庭園設計や浜田庄司の民芸などが記憶に残っています。ウィーン工房は、かつてウィーンに住んでいた自分にとっては身近な存在だったので、今回の「ウィーン工房」展では懐かしさがこみ上げてきます。正方形を基調にしたリズムカルなデザイン、しかも構成のバランスが瀟洒で総合的に考案されたスタイルです。ウィーンで手に入れた工房の歴史や製品を掲載した原書が、今も自宅の書棚に眠っています。ウィーンの街の中にはウィーン工房スタイルのデザインが残っていて、建築の装飾や日用品に中にも見られます。自分が陶彫やRECORDで幾何抽象模様を扱う時には、このウィーン工房スタイルが脳裏を過るのです。20世紀初頭にモダニズムの精神をもって、生活全般を対象として具現化したウィーン工房は、時代が変わっても古くならないように思えます。今回の展覧会で単純なカタチが新鮮に見えたのが不思議でした。

関連する投稿

  • G・クリムトからE・シーレまで 国立新美術館で開催中の「ウィーン・モダン」展には、「クリムト、シーレ […]
  • 「種村李弘の眼 迷宮の美術家たち」展 先日、東京の西高島平にある板橋区立美術館に行き、表記の展覧会を見てきました。故人である種村季弘は、私が滞欧中に親しんだウィーン幻想絵画を取り挙げた文学者で、深層心理に働きかけをするドイツ・オーストリ […]
  • 渋谷の「だまし絵 Ⅱ」展 先日、渋谷のミニシアターへ行った折、Bunkamuraザ・ミュージアムで開催されている「だまし絵 […]
  • ドイツの近代彫刻家 数年前、東京上野にある東京藝術大学美術館で、ドイツの近代彫刻家エルンスト・バルラッハの大掛かりな展覧会がありました。春爛漫の季節に美術館を訪れて、バルラッハを堪能したのですが、自分が初めてバルラッハ […]
  • 飛騨高山美術館へ… 台風4号の影響で予定していた世界遺産白川郷や五箇山の集落行きを明日に延ばしました。今日は雨の高山市内を散策することにしました。昔訪れた時にはなかった美術館を見つけ、そこに出かけることにしました。実は […]

Comments are closed.