ポーランドのブックアート

先日、武蔵野美術大学美術館で開催されている「20世紀から21世紀へ 転換期のポーランド・ブックアート」展を見てきました。書物の視覚的な作品化を試みたオブジェの数々は、その内容によって広域な表現を獲得し、もう書物とは言えない作品になっていました。かつて自分はシュルレアリスムの作家によって、アートとして具現化された書物を集めた展覧会に行ったことがあります。その時、自分もこうした表現領域に少なからず興味関心を覚えました。そこには文字で綴られた内容に対しイメージを助長させるために視覚化した作品もあれば、文字そのものを記号として扱い、文字の持つ意味を完全に払拭してしまう作品もありました。頁をめくっていく行為から立ち現れる書物としての世界は、文字を読んで世界観を理解するものであれ、視覚から飛び込んでくるものであれ、表紙と裏表紙に挟まれた形で頁内に閉じ込められている状態で存在しています。そこに書物に対するワクワクした気持ちが出てくるのです。「20世紀から21世紀へ 転換期のポーランド・ブックアート」展は、1988年から2009年までのポーランドの貴重なブックアート作品を集めたものですが、グラフィックや版画表現に長けたポーランド国民の面目躍如としたところが感じられて大変刺激を受けました。   

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