「彫刻家エル・アナツイのアフリカ」展

先日、夏季休暇を頂いて表題の展覧会を埼玉県立近代美術館に見に行きました。大きなポスターが葉山の神奈川県立近代美術館にも貼ってありましたが、機会を逃したため埼玉県に出かけたのでした。現代アフリカ美術に疎い自分は、アナツイの世界観を知るまではそれほど興味を持っていたわけではありませんでした。アフリカの土俗的な仮面や伝統的な木彫に興味関心はあっても、現代となるとどんなものか見当もつかないのでした。実際にアナツイの作品に触れて、現代アフリカ美術の見方は大きく変わりました。外資による物質に溢れ、その廃品を器用に再生するアナツイは、現代アフリカ社会を象徴しているように思えます。屑鉄を小さくカットして銅線で繋ぎとめ、その夥しいユニットで巨大な壁を出現させる手法に暫く眼を奪われました。廃品は美しくもありました。アフリカの息づく街が匂いたつような作品でした。環境によって作品の在り方が特徴づけられるならば、現代日本を象徴するものは何だろうと思わないではいられない展覧会でした。

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