信濃観月苑の「猫展」

昨日、長野県麻績の池田宗弘先生宅を訪ねた折、麻績村にある信濃観月苑で池田先生が「猫展」を開催しているので見てきました。猫は池田先生にとって生涯の友であり、彫刻や絵画、版画のテーマでもあります。池田先生が育てた猫は数知れず、東京の東村山に住んでいる時から猫に囲まれていました。しかも捨て猫ばかり育てています。この師匠にしてこの弟子あり、というわけで自分も何の縁か捨て猫「トラ吉」を育てています。思えば自分が池田作品に初めて出会ったのも猫の群像彫刻で、その強烈な印象に圧倒されて弟子入りしたようなものです。真鍮直付けによる骨ばった猫、中には穴が空いて心棒が丸見えになった猫もいて、それら猫たちが忍び足で四方八方から餌である魚に近づいてきます。魚もほとんど骨の状態で、そこには逞しく生きようとする猫たちの生命が躍動していました。信濃観月苑で開催中の「猫展」にも真鍮による猫の彫刻が展示されていました。「猫展」では水彩や木版画になった猫もいて、それら猫たちのエピソードも記されていました。血統書付の猫を飼っている知人がいますが、同じ猫好きでも生活の底辺で逞しく生きる猫たちとともに生きている池田先生に共感を覚えます。

関連する投稿

  • 再開した展覧会を巡り歩いた一日 コロナ渦の中、東京都で緊急事態宣言が出され、先月までは多くの美術館が休館をしておりました。緊急事態宣言は6月も延長されていますが、美術館が漸く再開し、見たかった展覧会をチェックすることが出来ました。 […]
  • 横浜の「バンクシー展」 横浜駅に隣接するアソビルで開催されているバンクシーの全貌を示す展覧会は「バンクシー展 […]
  • 週末 土台作り&美術館散策 週末になりました。新型コロナウイルス感染症で緊急事態宣言が出ているにも関わらず、気持ちのモチベーションを保ちたくて、今日は地元にある横浜美術館へ出かけてしまいました。早朝は工房に行き、新作の土台作り […]
  • 橫浜の「エッシャー展」 既に終わってしまった展覧会の感想を述べるのは恐縮ですが、旧知の作品が多い有名な版画家の印象を改めて書きたいと思いました。オランダ人版画家M・C・エッシャーの作品を、私がいつ頃知ったか今も鮮烈に覚えて […]
  • 社会の鬱積からの解放 武蔵野美術大学美術館で開催中の「スタシス・エイドリゲヴィチウス展」を見て感じたことは、国家が社会主義体制にあった時代に、その鬱積から心を解放したいと願って、密かに作品を作っている芸術家の姿でした。そ […]

Comments are closed.