「The Klee Universe」
2011年 7月 14日 木曜日
パウル・クレーの作品集を折に触れて眺めています。「The Klee Universe」という厚めの洋書です。グロテスクで幻想的なエッチングがあったり、クレーらしい記号化された世界が多く掲載されていて飽きることなく見ています。戯画化された線描が心の琴線に触れることがあります。一見あどけない表情の絵が、畏怖の念をもって再び立ち現れてくるようにも感じます。クレーはどんな思いでこんな世界を描いたのでしょうか。何か心理的な分析を試みたくなるのは私だけでしょうか。繰り返される色彩のパターンをもつ絵は北アフリカで見た情景や風物が昇華した結果でしょうか。自分が一日1点ずつ作っているRECRDの制作を始める時は、一旦クレーの印象を記憶の奥に仕舞いこんでから行います。クレーに引きずられてしまうからです。でもイメージが固定化してくると、決まって自分は「The Klee Universe」を開きます。そこで今一度自分の世界を見直し蘇生を図るのです。クレーは模倣を許さない作家です。でも、イメージの何たるかを与えてくれる作家でもあると思っています。
関連する投稿
- 怒涛図「男浪」「女浪」 何年か前に長野県小布施に行きました。確か麻績の池田宗弘先生宅にお邪魔した帰り道だったように思います。目的は葛飾北斎の足跡を辿ることで、小布施にある北斎館を見たかったのです。そこで感動をしたのは祭屋台 […]
- 5月RECORDは「響」 ポストカード大の平面作品RECORDは文字通り「記録」する目的で、一日1点の作品を作り続けています。7年目を迎え、作品数は2000点を超えています。日記と言うより現在はイメージの蓄積を目標としている […]
- 9月RECORDは「渦」 今月のRECORDのテーマを「渦」にしました。渦巻紋や直弧紋のことを先日来よくNOTE(ブログ)にアップしていますが、実際に図版資料をもとにキュビズム紋と言われる直弧紋を自分なりに試みてみたい意欲に […]
- RECORDとP.クレー このところRECORD制作に熱が入っています。何か新しい表現をしているわけではなく、意識が変わったように思えます。契機になっているのは先日見に行った「パウル・クレー […]
- 造形美術のバイブル 「芸術の意味」(ハーバート・リード著 瀧口修造訳 […]
Tags: RECORD, イメージ, 作品, 書籍, 芸術家
The entry '「The Klee Universe」' was posted
on 7月 14th, 2011
and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.