両国の「五百羅漢展」

「五百羅漢ー増上寺秘蔵の仏画 幕末の絵師 狩野一信」というのが、両国にある江戸東京博物館で開催されている展覧会です。自分はポスターでこの五百羅漢の存在を知って展覧会に足を運びました。もちろん狩野一信という絵師も知りませんでした。ともかく100点に及ぶ大作に圧倒されてしまいました。その質・量ともに充実した瞠目すべき作品群なのに日本美術史には登場してきません。第二次大戦の戦火を奇跡的に逃れて、今に伝えられる作品は凄まじい迫力をもって一信の生き様を表しています。39歳から48歳で没する10年間で、このシリーズを描き上げたことを資料で知り、さらに驚きました。1年で10点というペースは超人的です。しかも大きさもあれば描き込みも濃密です。いったいどんな人物だったのか興味は尽きませんが、今後専門家によって検証し、日本美術史の中でしかるべき位置が与えられてもいいのではないかと思います。

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