「生老病死のアトリエ」

昨夜、NHK教育「日曜美術館」で彫刻家保田春彦先生の近況が再放映されていました。題して「生老病死のアトリエ」。81歳を迎えた老彫刻家の生き様をありのまま紹介した番組でした。自分の学生時代、保田先生は同じ大学で教壇に立っていました。でもカリキュラムの関係で自分は保田先生に教えていただく機会がなく、いつも遠いところから先生の仕事を拝見していました。大学の作業場の片隅を使って鉄の溶接をされていた先生は、大変厳しい表情で自分から声を掛けられるものではありませんでした。でも先生の個展には必ず出かけていって、作品が展開していく経過を自分なりに把握していました。この番組で取り上げられている70代後半から現在に至る裸婦デッサンや闘病シリーズも鎌倉や世田谷の美術館、南天子画廊で見ています。実際の制作現場にテレビが入り、先生が素描されている様子を見ると親近感がわき、また羨ましくもありました。創作活動に対する強い意志。自分も見習いたいと思っていますが、きっと自分もこうなるだろうことは予想がつきます。自分にとっては人事ではない番組だったと思っています。

関連する投稿

  • 木彫「進化の過程」 朝日新聞の美術評によると「古い民家を思わせる木彫シリーズだが、今作では地虫のような形に。題名と合わせて見ると、はいつくばってでも前に進もうとする、作家の意思表明ともとれる。老いるにつれ、できること […]
  • 師匠の温かい助言 先日、ドイツの菓子シュトレンを長野県に住む彫刻家池田宗弘先生に郵送しました。そのお礼を兼ねた電話があったそうで、私が仕事で不在だったため家内が電話を受けました。私とも長電話になる池田先生ですが、私の […]
  • 創作一本の4月制作目標 基本的に毎日制作が可能な4月からの制作目標を、例年の慣習に従って立てていきたいと思います。毎日制作できるとなれば陶彫部品を集合させる新作は完成できるのではないかと思っています。今年7月に開催するギャ […]
  • 三連休 制作の合間に… 三連休の中日です。朝から工房に行って昨日から続いている厚板材の彫り込み作業をやりました。三連休の制作目標にしていた彫り込み作業は、今日の夕方には完成し、絵画的なイメージの作品は後に回すことにしました […]
  • 2014年の抱負 2014年になりました。今日だけは工房に行かずに過ごしました。例年通りの元旦で、朝は母の実家で雑煮を食べました。昼には家内と東京赤坂に初詣に出かけ、家内安全、身体堅固、芸道精進の祈祷をしてもらいまし […]

Comments are closed.