無声映画「アンダルシアの犬」

国立新美術館で開催中の「シュルレアリスム展」で、1920年から30年にかけて作られた無声映画を上映していました。瀧口修造全集(みすず書房)にも登場するシュルレアリスムの映画を一度は見てみたいと思っていたのです。こんな場所で見られるとは思ってもみませんでした。ルネ・クレールによる「踊るパリ」、マン・レイによる「ヒトデ」、ルイス・ブニュエルによる「黄金時代」と「アンダルシアの犬」。その中でもブニュエルとダリが共作した「アンダルシアの犬」に注目しました。手のひらを蟻がたくさん這っていくシーンは、まさにダリの絵画そのものでした。妄想が妄想を喚起させる展開。傍若無人な男と奇妙な女が繰り広げる室内劇。ストーリーよりもイメージの連鎖が生み出す世界。それは他の作品全てに言えることで、映画全編に流れる特撮による工夫が、現代のコンピュータを駆使した映像に慣らされた眼には、とりわけ新鮮に見えました。こうした実験を繰り返して、現在まで続く映画ならではの面白さが創造できたと考えます。シュルレアリスムには映像表現がよく合っているとさえ思えました。

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