生活空間と制作空間

職場から帰宅してから工房に出かける時があります。当然夜になっていて、植木畑に建っている工房の周囲は真っ暗です。懐中電灯で前を照らしながら、大きくなった植木の合間を縫って工房に辿り着くのです。工房に入ると、やはり倉庫として建てたものなので、ひんやりとした素っ気ない空間があるだけです。作業台や窯、無造作に置いた作りかけの作品。ガランとした空間には生活臭を拒絶する厳しさがあります。のんびりとお茶を飲むような余裕を与えてくれない雰囲気です。自宅とは正反対の異空間。自分はこれを求めて、こんな工房を建てたのだと自分に言い聞かせています。夜を通して制作をするには、あまりにも厳しい環境です。音響ではラジオだけが備えてあります。くつろぐところは自宅の生活空間、自分自身と向かい合うのは工房の制作空間、こんな使い分けをしているのです。工房にも一箇所くつろげる空間を作ったらどうかと家内に言われたことがあります。定年までは今のままでやっていくと答えました。工房にいる時間が少ないので、このままの状態でやっていきたいと思っています。

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