「カンディンスキーと青騎士」展
2010年 12月 14日 火曜日
自分にとって注目すべき展覧会です。ブログに何回となく書いているカンディンスキーは、P・クレーやシュルレアリスムの芸術家と共に自分の中に今も生きつづけている画家なのです。年刊誌「青騎士」の翻訳が白水社から刊行されたのを契機に、「青騎士」をじっくり読んで、以前のブログにもその感想を書きました。今回の展示内容ではやはりカンディンスキーの先鋭さが目立ちました。青騎士の他のメンバーよりさらに前を行くカンディンスキーは、カタチの解体や色彩の雄弁さを推し進めて、まさに内面から奏でる旋律に身を任せたような作風に移行していました。無調音楽に到達したシェーンベルクより発想を得た非対象絵画は、当時は理解されることもなく展覧会は惨憺たる結果に終わっているのですが、今自分の目の前にあるカンディンスキーの作品を見ていると、それも時代が時代だけに頷けるものがあります。絵画はサロンで眺めるものではなく、カタチと色彩の織り成す哲学になった瞬間から、造形する発想の転換が行われ、現代が始まったと言っても過言ではないと思います。眺める絵画から思索する絵画へ。思索には解釈が付き纏います。それもひとつではない解釈があって、まさに造形を哲学する時代がやってきたと認識しています。
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Tags: カタチ, 作品, 創作, 展覧会, 画家, 芸術家, 音楽
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