喪中葉書を受け取って…

この時季になると喪中葉書が送られてきます。自分の年齢を鑑みると、本人ではなく、その関係者が多いのですが、たまに親交の厚かった本人であったりすると残念でなりません。自分が世話になった人が亡くなり、喪中葉書を受け取った時の何ともいえぬ虚ろな気分が今日ありました。70代前半で他界したその人は、自分の海外留学の書類を作ってくれた人でした。当時ドイツやオーストリアに支店をもつ商社に勤めていて、自分がオーストリアに滞在中も気軽に訪ねてくれました。博多の明太子を大量に持参されて、日本食に飢えていた自分には何よりのご馳走でした。オペラにも精通していた人で、商社の仕事をしながら音楽の分野でも活躍されていました。ドイツ語は堪能、感覚も日本人離れしていて当時の自分はその人に憧れさえ抱きました。その人を見ていると、自分もしっかりした職業をもち、責任ある社会人にならなければならないと思ったことが再三ありました。時は移るもので、その人に今年はどんな歳暮を贈ろうかと思案していたところに喪中葉書が届いたのです。恩返しは出来たのかどうか…さまざまな思いがこみ上げる師走です。

関連する投稿

  • ウィーンからの懐かしいメール 1980年から85年となれば、今を遡ること30年前になります。オーストリアの首都ウィーンは地下鉄の交通網がシュタットバーン(市街電車)に取って代わろうとしていました。そんな頃に自分は市街から遠い10 […]
  • 映画「フジコ・ヘミングの時間」雑感 横浜のミニシアターにはレイトショーがあって、仕事帰りに立ち寄れる時間のため、映画を容易に楽しめることが出来るので重宝しています。独特な音楽観を持つピアニストのフジコ・ヘミングは、以前テレビで紹介され […]
  • ウィーンに思いを馳せる日 昨晩NHKのTV番組からウィンナーワルツが流れてきました。恒例のオーストリア国営放送によるニューイヤーコンサートの模様を衛星で伝えていたのでした。1980年から85年までの5年間、自分はウィーンにい […]
  • ウイーン回想から始まる1年 昨夜、NHK番組からウィンナーワルツが流れてきました。恒例のオーストリア国営放送局が衛星で流している「ウイーン・ニューイヤーコンサート」の模様です。自分は毎年この時期にこの番組をブログで取り上げてい […]
  • クラシック音楽を聴く機会 20代の頃にオーストリアの首都ウィーンに住んで、リング(環状道路)沿いにある国立歌劇場に毎晩通っていました…と、書くと自分はいかにも文化意識が高く、経済的にも恵まれた、どちらかと言えば鼻持ちならない […]

Comments are closed.