骨にまつわること

今月のRECORDは「吊るす」というテーマでやっています。20日から今日までの5日間は、骨が吊るされているイメージをモノクロの作品にしてやっています。骨は人骨で、自分が滞欧中に購入した解剖学の書籍を参考にしています。今は本ものの人骨を見ながらデッサンできる環境がないため、図版を見ながら描いているのです。自分はもうかれこれ30年近く前にヨーロッパに出かけ、オーストリアのウィーン国立美術アカデミーに在学していました。アカデミーでは解剖学の講義があって、解体された人体をデッサンしたことが思い出されます。そのデッサンノートは今も手許に残っています。解剖学の書籍は、その当時購入したもので、単位を取得するためにドイツ語の辞書を片手に勉強していたのでした。それはところどころ自分が学んだ形跡が見られる分厚い本ですが、今はもうすっかりドイツ語が出来なくなって、解読するもどかしさを感じてしまいます。現在は余裕のない生活の中で、図版だけを頼りにRECORDをまとめてしまう自分ですが、骨の機能的な美しさを感じる絵心だけは忘れていないようです。

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