甲虫類のような立体造形

陶彫による立体作品が昆虫、なかでも甲虫類の雰囲気がすると、個展に来ていただいた人から指摘されたことがあります。昨年発表した「発掘~赤壁~」や今年の「構築~瓦礫~」の曲面を多用した作品に、そうした生物的なイメージが見て取れるのだと思います。自分としては歓迎すべき感想で、非対象形態に生物的な動きを感じていただけたことは、大変嬉しいことです。もちろん昆虫を作っているわけではなく、動的なカタチを意図していることもありません。連なる曲面がそうした連想を生むのでしょう。この感想を聞いて、自分の中に昆虫の動きに注目してみようという意欲が沸き起こり、あえて甲虫類に近づいて、自然界の完成された美を堪能したいと思ったことも確かです。昨年の横浜開港150周年記念事業でフランスの「ラ・マシン」が上陸し、巨大な蜘蛛の立体造形が話題を呼びました。その節足の美しさ、形態の不思議さに感動を覚えました。自分の彫刻はやはり今後も非対象でいく計画なのですが、何とも形容のつかない甲虫類のような立体造形にしてみるのも楽しいかなと思うようになりました。

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