夢で見た部屋

家内はよく夢を見るようで、寝起きにこんな夢を見たと自分に語る時があります。自分はほとんど夢は見ません。または朝になると忘れてしまうのかもしれません。詩人瀧口修造の文章に夢の記述をしたことが書かれてありましたが、自分も夢の内容を忘れなければやってみたいと思います。実はいくつか夢の内容を覚えているものがあります。夢の中で、自分は学生に戻っていて、半地下のような部屋に住んでいるのです。夢の中でも自分は彫刻を学んでいます。その部屋は広めのワンルームで、全てフローリングです。部屋の真ん中あたりから一段高くなった空間があり、その奥に格子状になった棚が設えてあります。棚には彫刻の小品があって、これは自分の習作です。鉄やら石膏やらで出来た作品は、いつかどこかの美術館で見た彫刻の雛型だったように思います。部屋は滞欧生活をしていた時に、よくお邪魔した邦人彫刻家の自宅兼工房が下地になっているように思います。夢は記憶のコラージュのようなもので、突飛な情景は出てこないのかもしれません。自分は質素な暮らしをしていて、アルバイトで稼いだ金銭は全て彫刻の材料費に充てていました。そこだけが妙に生活じみた夢なのです。でもそんな夢を繰り返し見て、忘れずに覚えているのが不思議です。

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