陶による集合彫刻を考える

陶彫に関わって10数年が経ち、改めて現在やっている陶による集合彫刻を考えてみたいと思います。集合彫刻を始める動機は、もちろん集合彫刻が自分の感性に合っていたことが一番でしたが、集合彫刻にはさらに付随するものが多くあります。まず素材が陶であり、陶土を焼成するための窯の容積が決まっていて、単体作品であれば作れる大きさに限界があること。そこで単体を組み合わせる集合体にすれば大きさにある程度の幅ができて、よりイメージに近づけると思ったのです。もうひとつは自分は公務員であり、制作時間の制約を受けることが挙げられます。仕事の具合によって作品のパーツの数に影響して、集合体が大きくなったり小さくなったりするのですが、それでも未完で終わることはありません。それは当初のイメージ通りではなくなることを意味し、何度もイメージを描き変える必要が出てきます。イメージを一旦壊し、新たな模索を余儀なくされて、さらに締め切り時間とのギリギリの攻防によってパーツを作ります。これは時に緊張感を生んで結果的にはいい展開をすることがあります。もちろん、その逆もあります。余計なパーツを多く作ってしまい、作品が散漫になってしまうのです。陶による集合彫刻は、自分の感性と生活サイクルから生まれた表現方法で、もうしばらくはこの方法にこだわっていきたいと思っています。

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