「シャガール」展 夢と前衛

先日、東京上野にある東京芸大美術館で開催されている「シャガール」展を見てきました。副題に「ロシア・アヴァンギャルドとの出会い~交錯する夢と前衛~」とあるように、展示内容はシャガールの絵画だけでなく、同時代を生きたロシアの芸術家の作品やシャガールの舞台美術も網羅していて、内容の濃い展覧会になっていました。自分の学生時代のことを振り返ると、自分はシャガールの作品にあまり関心がなく、実際に彫刻的ではない絵画世界に馴染めなかったように思います。画業の偉大さは認めていたにも関わらず、感覚的なところで受けつけなかったのでした。シャガールの作品が好きになったのは、自分に滞欧生活があったおかげです。作品の中に自分の血縁を塗りこめ、故国から離脱できない心情が常にあったことが自分に感動をもたらせました。自分の滞欧生活なんてシャガールの故郷を追われた身に比べれば、ほんの一時の気の迷いかもしれません。それでも孤独な魂の僅かな部分が自分には理解できたような気がしました。展覧会ではカンディンスキーの初期の具象絵画がまとまって見られたことが、自分にとって大きな収穫でした。この風景画が次第に非対象絵画になっていくことを美術史で知っている自分には、具象の中に潜む構成世界を勝手に想像して楽しむことも出来ました。

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