快さを求めて

生きていくうえで、自分はいつも快く清々しい風に吹かれていたいと感じています。快適な気分で過ごすためには、どんなことをすればいいのかよく考えますが、自分にとって創作活動はそんな快さを求める手段なのかもしれません。たしかに自分が日々取り組んでいる彫刻制作は労働の蓄積です。完成するのかしないのか見当がつかないこともあります。ただし、自分が思い描く環境(空間)に、自分のイメージしたカタチが置かれた状況を思うと、ワクワク感が沸きあがります。それはよく眠り、よく食べ、通じもよくなるという自分の生理現象に現れるのです。陶彫はそうした自分の感覚に強く働きかけてきます。土のざっくりした肌、それをきっぱり規制する幾何的な面と、ゆるやかに光を受け入れる曲面のハーモニーが自分にこの上ない快さをもたらすのです。陶彫に巡りあえてよかったと思える瞬間です。彫刻制作は苦しみ悩むだけではなく、快い達成感があるということを忘れてはならないし、そもそも徒労に終わるかもしれないこんな仕事をずっとやっている意味を考えたいと思うこの頃です。

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