マッキントッシュの椅子

今夏、飛騨高山美術館にあるマッキントッシュの部屋を見てから、時折マッキントッシュのシャープなデザインが頭を過ります。あの市松模様に見られる直線的なデザインは、家具や室内装飾において簡素で斬新な印象を与えるのです。とくにマッキントッシュの背もたれの長い椅子は有名です。白い壁の前に置かれたマッキントッシュの椅子は、それだけで究極の美を生み出しています。学生時代に図版で見て、それからしばらくして実際の家具に触れました。市販もされているようですが、購入しても置く場所に困るくらい完璧なカタチをしているのです。以前のブログに書いた記憶があるのですが、オブジェとしての椅子に自分はとても興味があります。椅子は座ることの出来る彫刻だと考えています。座りやすさ等の機能性を追究した椅子は、とくに近代から現代に至る建築史や美術史に多くの秀作が登場しています。一方で純粋に美的なカタチを追求している椅子も多くあります。マッキントッシュの椅子もそのひとつです。ガウディの木製の椅子も動物的な動きが感じられて面白いと思います。自分はそうした日用品をテーマに美的価値を求める仕事に、楽しさと余裕を感じてしまうのです。

関連する投稿

  • 12月RECORDは「円環の風景」 「~の風景」と題名をつけるのは今月が最後ですが、はたして風景という付加した題名にどのくらいの意味があったのか、自分で考えておきながら疑問が残ります。今までも風景を想定したRECORDを作ってきたので […]
  • 三連休 集合彫刻の統括 三連休の中日です。今日も朝から夕方まで制作三昧でした。擂り鉢状の新作は陶彫部品を組み合わせた集合彫刻です。集合彫刻は私が20年以上も関わってきた表現方法で、部品をひとつずつ作って、それらを統括してひ […]
  • 体調不良の時の成形作品 今朝、出勤前に工房に立ち寄りました。先日、陶彫の成形をしてビニールをかけた作品がどうなっているのか心配で、体調が多少回復したら見に行こうと思っていたのでした。水を打ってビニールをかけておいたので乾燥 […]
  • イメージを育てる 新たなイメージはどこからやってくるのでしょうか。現在の作品制作が佳境に入った時に、うまくいったり、悩んだりしている状況の中で、ふと湧いてくる現行とはまるで異なるイメージがあります。現行の作品に集中し […]
  • 日常から生み出されるモノ 朝が来て目覚め、夜に床に就く日常の繰り返しに、ふと我に返って考えることがあります。自分は創作活動をやっていて、自分の生きた証を残してきました。振り返れば毎年制作している作品に、その時の自分の思考や心 […]

Comments are closed.