白川郷・五箇山にて

「世界文化遺産としては、すでに法隆寺と姫路城が決定している。が、白川郷合掌造り民家とその集落には、それらとは決定的にちがった文化的価値がある。それは、大自然の草木に依拠しつつ、庶民が自らの知恵と工夫と技術でもってつくりあげた住まいであり、いま現にそこに住みくらしつづけている庶民文化、生活文化の結晶の場だということである。それは、時の権力者や富貴者がつくった単なる記念碑的存在とは比ぶべくもない重みと貴さをもっている。」(姫田忠義著 1995年白川村教育委員会発行)前述の文章を読んだ自分は、合掌造りの民家に住み続けている人々のいる白川郷や五箇山の集落を一度は訪ねてみたくて、今年は飛騨高山方面にやってきました。すでに世界遺産となっているところなので、観光化されていることはわかっていましたが、そこに行ってみたいとずっと思っていました。来てみて感じたことは周囲を奥深い山々に囲まれて孤立した集落だったこと。そのため生活の利便化が遅れ、古いまま取残されたこと。そんなことが幸いして合掌造り民家が多く点在することになり、自分たち日本人が生活の原点を振り返る場所と機会を与えられているのだと思いました。また五箇山は箱庭のように美しく、絵本の世界のように思えました。

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