「美しき挑発 レンピッカ展」

今月5日に美術館巡りをした折り、表題の展覧会に足を運びました。東京渋谷にあるBunkamuraミュージアムは斬新な企画で人を集めるので、自分はよく見に行っています。タマラ・ド・レンピッカも特異な女流画家だと思います。もともとポーランドのワルシャワ生まれのレンピッカは、パリやニューヨークを舞台に活躍しました。アールデコを代表する芸術家のひとりと称されますが、ルネサンスの絵画から様々な手法を学び、それをレンピッカ風にアレンジして独特の世界を作り上げました。レンピッカ風というのは、人物を描いても静物を描いても自然な光を感じず、むしろ舞台に照明を当てているようなキラリとした技巧的な光を感じるのです。レンピッカ自身も、モデルのように美しく女優のようなムードが漂う芸術家です。レンピッカが生み出す絵画全てがレンピッカの自画像のように思えてきます。アールヌーボーやアールデコが見直されている現代にあって、レンピッカは懐古と斬新の入り混じったユニークな地位を与えられている画家だと思います。

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