窯という他力本願
2010年 4月 14日 水曜日
陶芸(陶彫)をやっている者にとって、最後の焼成は自分ではどうにもならないものです。窯に入れて焼成が始まった途端に、作品は自分の手から離れ、火の神のみぞ知る世界になります。炎を潜り抜けて還ってきた作品は、神々しく見えるのは自分だけでしょうか。簡単に言えば高温によって陶土が石化する現象が起こるのですが、何か人智を超えたものに例えてみたい誘惑に駆られます。日曜日に大きな成形部品を窯に入れました。今日で3日目。仕事帰りに工房によってみると、窯の温度は100度程度まで下がっていました。電源を切って恐る恐る窯を開けました。今まで何度窯を開けたことかわかりませんが、その度にドキドキして作品が割れていても仕方ないという後ろ向きな考えが頭を過るのです。今日は大丈夫でした。何度も熱覚めやらぬ窯の中を覗き込み、本当に割れていないか、大きく歪んでいないかを確認して、ようやく胸をなでおろします。まさに他力本願。窯で焼成するという不思議な儀式に気持ちが大きく揺れるのです。だからこそ陶芸は面白いのかもしれません。
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