風景の再構築
2010年 3月 8日 月曜日
近隣を散策していると、かつて自分が小学校に通った小道が変貌していて、昔の見慣れた風景が思い出せなくなっているのに気づきます。住宅が密集し、かつての小道より大きな通りが横に出来ていて、ここまで変わってしまうと自分の記憶に自信が持てません。そういえばこのあたりに小川があった、このあたりは田畑が続いていて、ここは土手になっていた、と記憶を辿りながら歩くと、郷愁に誘われることもあります。横浜に生まれ、横浜に育った自分ですら、そんな思いをしているので、遠いところに故郷を持っている人はなおさらだろうと思います。自分の脳裏にすり込まれた記憶の断片は、それが通学路だったり、自宅の裏山だったり、亡父が生業にしていた造園だったりするのです。とりわけ造園は、自分が中学生の頃から父の仕事を手伝っていたので、庭園は人のサイズで見渡せることができる自然を網羅した小宇宙だという認識があります。それが今になって別のカタチとなってあらわれているように思います。現在自分が試みている集合体による彫刻は、あるいは自分の中で血肉化した造園が基本になっていると思います。これは風景の再構築とも言えます。土や木という材質に魅力を感じ、そこに可能性を求めている自分は、幼い頃から接していた家業と因果関係があるように思えてなりません。
関連する投稿
- 週末 新作陶彫を作り始める 今日は朝から工房に篭りました。今日は私に関わりがある美術系の高校生が夏休みの宿題をやりに工房に来ていました。今日は先日練っておいた陶土をタタラにするところから作業を始めました。菊練りした陶土を適当な […]
- 週末 RECORD撮影日 例年5月に個展用の図録撮影がありますが、陶彫作品だけでなく、自分にはRECORDと称するポストカード大の平面作品があります。毎晩自宅で作っている小さな作品ですが、塵も積もればの感があって作品点数はか […]
- 筋肉疲労の残る週初め 今朝は筋肉痛が残って通勤に辛さを感じました。これは公務関係の疲労ではありません。新しい職場は次第に慣れてきているので、4月当初のストレスはだいぶ軽減してきました。この筋肉痛は、昨日やっていた作品に油 […]
- 表現や素材に対する浮気 ストイックな抽象表現をやっていると、具象的な表現に憧れ、人物を塑造してみたくなります。具象的なカタチには自分の頭では考えられない様々なカタチがあって観察を極めたくなるのです。抽象と具象は割り切って区 […]
- 週末 梱包開始&美術館散策 今日から個展のための梱包作業に入ります。まず「発掘~座景~」の4枚の台座をシートに包みました。シートの内側にはエアキャップをガムテープで貼り付けています。台座に施した砂マチエールが痛まないように作品 […]
Tags: 彫刻, 散策, 木材, 陶土
The entry '風景の再構築' was posted
on 3月 8th, 2010
and last modified on 5月 1st, 2010 and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.