プラスとマイナス

プラスというのは塑造(モデリング)のことで、可塑性のある素材を付け足して膨らませる造形方法のことです。マイナスというのは彫造(カーヴィング)のことで素材を彫ったり削ったりしてカタチを表す造形方法です。プラスの素材は主に粘土で、成形が比較的楽に出来るため幼児にも扱えるし、心理的な治療やリハビリテーションにも使えるのではないかと思います。土に触れていると、時間を忘れるくらい集中してしまうのは自分だけではないと思えるからです。一方、マイナスの素材は木や石です。彫造では道具の扱いが難しいのですが、自然の素材を彫る喜びがあって、彫刻的な醍醐味が味わえるのは、こうした行為ではないかと思います。素材の中に潜むカタチを、手探りして彫りだしていく過程に心地よさを感じるのは、これも自分だけではないと思えるのです。そう考えると現在自分が作っている「構築〜瓦礫〜」はプラスとマイナスの素材を組み合わせた複合彫刻と言えるのではないか、でも現代彫刻はプラスやマイナスなどと言っている狭義な世界から逸脱し、もっと多様な素材が登場している状況もあるのだから、相反する素材や要素があっても不思議ではないとも思っています。

関連する投稿

  • 「中空の彫刻」読後感 「中空の彫刻」(廣田治子著 […]
  • 21’図録の完成 5月30日に個展用の図録を作るための撮影を行い、今日新しい図録1000部が自宅に届きました。図録は16冊目になりますが、毎回同じサイズ、頁数で作っています。図録は前頁カラー版で正方形の冊子になります […]
  • 「結語」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「結語」の「1 木彫と陶器」「2 親密な環境における彫刻」「3 […]
  • 「 《オヴィリ》1・2」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第5章 タヒチ滞在(1891~1893年)とパリ帰還(1893~1895年)」の「3 […]
  • 「文化的総合」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第6章 タヒチからマルケーサスへ(1895~1903年)」の「2 […]

Comments are closed.