舞台美術への憧れ

家内が美大の空間演出デザイン科に学んだ理由に舞台美術をやりたかったことがあります。自分も似たようなところがあって、自作の立体作品を舞台にのせ、照明や音響を導入した総合芸術をやってみたいと考えていた時期があるのです。それは背景としての舞台美術ではなくて、舞台美術そのものもドラマを解釈して主張する新しい劇空間のあり方を模索するものです。演じる役者と対峙するような緊張感のある舞台ができないものかと、当時の自分にはベースとなるものがないにもかかわらず、そんな絵空事を思っていました。「瀧口修造全集2」に掲載されている「ノグチと舞踊」の章を読むと、昔自分が考えていたことを、国際的な名声を持つイサム・ノグチがすでに実践をしていて、しかも総合芸術として完成されていたことがわかりました。ノグチの伝記の中にも舞台美術界での活躍は書かれていましたが、瀧口流の捉え方によって、新しい劇空間がノグチの手によって1940年代には出来ていたことを知りました。しかしながら自分は今でも劇空間の魅力に憑かれています。空間を提示できるところはギャラリーだけではないと思っているのです。

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