陶芸からクレイワークへ
2009年 12月 11日 金曜日
先日、ピカソによる斬新で闊達な陶芸についてブログに書きました。奔放な表現でありながら新鮮さを失わない豊かな造形がそこにあると思います。同じスペイン出身の巨匠ミロの陶芸にも自由で開放的な表現が見られます。気儘に作ったようでいて、ハッと瞬時に人を惹きつける魅力は何でしょうか。こうした20世紀を代表する芸術家が陶芸界に新風を吹き込んで、美術と工芸(陶芸)・デザインのボーダーレスの時代を作ってきたと言えるのではないかと思います。日本でも八木一夫を中心とする走泥社が、新しい陶による表現を模索してきました。かなり前から陶芸は、陶による表現に意識が変わり、さらに陶芸と言うにはあまりにも広義な表現を獲得してきました。自分は彫刻の素材として陶を用いているので、陶彫という呼び名を使っていますが、作家の中にはその範疇を超え、クレイワークと呼びたいような作品をやっていられる方もいます。一方で器の美しさを極める作家もいて、まさに百花繚乱の世界になっています。その中で自分のオリジナリティを出すのは逆に難しくなっていますが、自分は自然なままに自分がやりたいような世界を作ることをまず考えていきたいと思っています。
関連する投稿
- 陶板による複製絵画の意義について 夏季休暇を利用して徳島県にある大塚国際美術館に出かけ、大塚グループによる大掛かりな陶板による複製品に接してきました。西洋絵画を環境展示、系統展示、テーマ展示と分けて美術史に残る作品を全て網羅している […]
- 「聖別の芸術」読後感 「聖別の芸術」(柴辻政彦・米澤有恒著 […]
- 夏季休暇⑤ 5日間の休暇を振り返る 今日はどこかへ出かけることはしないで、今年の夏季休暇を振り返る一日にしました。7月末に2日間の夏季休暇を取りました。ここでは新潟県魚沼市を訪れて、江戸時代の彫工石川雲蝶のダイナミックな木彫に触れまし […]
- 「佐脇健一 未来の記憶」展 先日、目黒区立美術館で開催中の「佐脇健一 […]
- 荒木高子「聖書」シリーズについて 陶の造形作家荒木高子は2004年に82歳で逝去しています。独特な雰囲気を持つ陶の造形を、私はどこかの展覧会で観たことがあり、忘れられない印象があります。生前の作家にお会いしたことがなく、評論家の文章 […]
Tags: 芸術家, 陶
The entry '陶芸からクレイワークへ' was posted
on 12月 11th, 2009
and last modified on 1月 30th, 2010 and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.