「W・ド モーガン展」

ウイリアム・ド モーガンはイギリスのアーツ&クラフツ運動で活躍した装飾美術家です。アーツ&クラフツ運動と言えばウイリアム・モリスが有名ですが、ド モーガンは当然モリスとも親交があったようです。日本では馴染みが薄い人ですが、まとまった作品が来ているので、汐留ミュージアムに見に行きました。タイルはラスター彩と言われる西洋で昔から用いられる技法で仕上げられていましたが、多彩な色味があって、植物や動物の象徴的なカタチと相まって大変美しい印象を持ちました。晩年の具象傾向より、デザイン性に富んだ時代の作品の方が自分の好みに合いました。とくに花と葉の織りなす世界は、平面でありながら、豊かな空間を感じさせてくれました。ラスター彩でこの色彩を得るまでには大変な修練と努力が必要であったことはよくわかります。それが建築や室内装飾に美を与えていることは言うまでもありません。手仕事が生活を豊かにしていた時代はイギリスのみならず日本にもあったように思います。手間のかかる仕事ですが、コンピューター万能の現在だからこそ見直してみたいと思うこの頃です。

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