縄文土器 民族の生命力

表題は岡本太郎著「日本の伝統」の中に収められている縄文土器を扱った章です。今夏新潟県の十日町市博物館に行き、国宝「火焔型土器」を見て、自分もかつて岡本太郎の文章に啓発されて、縄文土器の美しさに気づいたひとりとして、もう一度「日本の伝統」を読み返してみたくなったのです。「彼らはきわめて厳格な宗教儀式なしには猟ができないと考えていますが、それはけっしてたんに功利的な理由ではありません。〜略〜矛盾にたいしてとられる、せっぱつまった厳粛な営みにほかならないのです。そこに不安と危機があります。強烈な矛盾に引きさかれ、それに堪え、克服する人間の強靭な表情を縄文土器ほどゆたかに誇り、しめしている芸術を私は知りません。」といった文章はどれもテーマに対してまっすぐに語られていて、気持ちよさがあります。まるで縄文人が自作を語っているようであり、文章によって縄文文化が構築されていくようです。なるほど若い頃の自分に沁みてきたエッセイだなと改めて思った次第です。

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