「オブジェ焼き」を読む
2009年 5月 28日 木曜日
表題は八木一夫著「オブジェ焼き」(講談社)です。八木一夫は前衛陶芸家として知られ、用途を持たない陶による作品を作った草分け的な存在です。陶彫を表現方法に選んだ自分としては、八木一夫の「ザムザ氏の散歩」等の前衛陶芸は避けては通れない世界です。本書は著者が生前に上梓した「懐中の風景」と没後に出た「刻々の炎」から編集された文庫版です。京都の窯元に生まれた著者が、中国や朝鮮の陶磁器研究や若い頃からの交遊録等を通して、オブジェ焼きに到達するまでの過程を、時に軽妙洒脱、また辛辣な口調で語る内容からは、自分などは足元にも及ばない伝統の分厚さを感じさせるものがあります。轆轤を挽くこともままならない自分には、土の土たる所以を知らしめてくれた刺激的な一冊になりました。60年という短い人生の中で様々な試みをして、後世に表現の何たるかを伝えた八木一夫。自分には飄々とした雰囲気が伝わってきますが、果たしてどんな人だったのでしょうか。Yutaka Aihara.com
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Tags: 作品, 書籍, 陶彫
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