「陶」という素材

「陶」は語りつくせないほど思い入れのある素材です。彫刻を学び始めた20代初めから興味関心がありました。塑造を石膏で型を取り、そこに新たな石膏を流し込み、型を割って石膏として作品を残す方法に、当時はずっと疑問を持っていました。何とか粘土の状態で作品を保存できないものかと考え始めた時に、粘土を高温で焼いて石化させる陶芸は、そんな思いに応えるのに十分な技法でした。でも陶芸のことを何も知らず、作品を窯に入れてもことごとく割れて随分落ち込みました。でもどうしようもないくらい「陶」の魅力にとりつかれていて、何度もチャレンジしました。そもそも土肌が大好きで、縄文や弥生土器にプリミティブな力を感じていたので、自分の心に芽生え始めたイメージを何とか「陶」でやってみたいと思っていたのです。土から生まれる造形。人間が始めて無形な素材から作り出す喜びを味わったであろう造形。そんな「陶」とは一生をかけて付き合っていくのだと改めて思っています。                            Yutaka Aihara.com

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