「彫刻の呼び声」を読んで…

表題は峯村敏明著「彫刻の呼び声」(水声社)で、銀色一色のシンプルで現代的な装丁に魅かれて購入しました。彫刻とは何かを問う真摯な評論集で、時間をかけてじっくり読み込みました。一貫したテーマである「存在」を美術界の様々な状況の中で提示されていました。こうした哲学的な思索は、自分の作っているものが一体どうなのかを自問自答する機会にもなって、大変刺激的です。つい職人的な手わざに走る近視眼的な傾向がある自分には、自分の今までの制作を振りかえり、自分なりに彫刻とは何かを自分に問いかける必要を感じてしまいます。というのは彫刻を通した思索とその具現化が、自分をして作品を作らせる動機になっているからです。通勤電車の中で、とつおいつ読んだ数週間でしたが、周囲が気にならなくなるほど没頭していました。

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