アイヌ文様の新鮮さ

NHK教育テレビ「美の壺」でアイヌ文様を扱っていました。自分もかつて北海道に行った折にアイヌの村に立ち寄って、木彫の日用品や服に施されたアイヌ文様を見てきました。まさに番組で紹介された通り、奔放なデザインで緻密な細工という感じを受けました。渦巻き文様は自分の大好きなカタチで、自作の陶彫の加飾やRECORDのテーマにも再三使っています。アイヌ文様はこうした渦巻きや植物の棘を抽象化した様々なパターンによる文様があって、その大胆さはハッとするほど新鮮な感動を与えてくれます。制作に行き詰った時は、民俗的で土着性の強いデザインが、自分の迷いを打開してくれることがしばしばあります。アイヌ文様は魔よけとしての意味があると番組で聞きましたが、自分が20代の頃に旅したルーマニアのマラムレシュ地方にも同じような意味合いの文様があったと記憶しています。それは彫刻家ブランクーシによって抽象作品として受け継がれ、当時の彫刻界に新しい風を起こしました。アイヌ民族からも彫刻家が出ていますが、アイヌ文様が基盤にあって、そこに現代性を持ち込んでいるのではないかと推察しています。                               Yutaka Aihara.com

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