「みじめな、うちしひがれた生徒が…」

「みじめな、うちひしがれた生徒が ぼくに白状した。窓辺へ吸い寄せられてしまう、と。ノートから離れ、インクにつけたペンから離れて。彼の目は彷徨い出ようとし、ひたいをおしあてた 窓ガラスを突き抜ける。」スイスの画家クレーの詩からの抜粋です。心の中に眠っていた昔の情景が自分にも浮かんできます。束縛からの解放。授業からの逸脱。当時の自分は実際の逸脱行為には及ばず、ただイメージの中で憧れていたものです。在りし日の思い出が甦る詩のコトバ。自分は詩は読み物ではないと思っています。目がそこにとまり、情景をキャッチするとイメージが膨らみ、心の琴線に触れてくるものです。そんな詩的要素が美術にもあるのではないかと思うのです。音楽ほど直接的な働きかけはありませんが、美術にもカタチや色彩で人の心に入ることはできると信じています。          Yutaka Aihara.com

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