辻晋堂の彫刻

八木一夫のオブジェ焼に関する書物を読むと、そこにちょいちょい辻晋堂という名が出てきます。彫刻家辻晋堂は亡くなられて随分経ちますが、ギャラリーせいほうで個展をやっていた作家でした。自分は学生時代に個展にお邪魔して数々の作品を見ていましたが、ご本人にお会いできる機会はありませんでした。写真でしか見たことのない若かりし頃の木彫によるきりっとした具象作品。研ぎ澄まされた緊張感が漂うのを写真でも感じることができます。自分が目にした辻晋堂の作品は平面性が表に出た陶彫です。それは岩のような壁に穴のあいた扁平なフォルムで「拾得」とか「寒山」というタイトルがついたものでした。ギャラリーせいほうでの晩年の個展に出品されていたのは、ご本人曰く「粘土細工」と称していたもので、かつての木彫の頃の具象とは違う趣の作品でした。「彫刻を捨てた」無心の造形と見るべきか、でも気品を失わない造形が当時の自分にはとても印象的でした。

関連する投稿

  • 個展用図録の見本
    7月20日から開催するギャラリーせいほうでの個展。今年の個展用図録が出来上がってきました。自分にとっては4冊目の図録になります。一番気に入っているところは表紙です。自分が描いたラフスケッチをもとにカメラマンが映像を合成し...
  • 図録印刷完成の日
    今年7月に開催する個展の図録が出来上がり、昨日手許に届きました。今回は「木・陶による構築シリーズ」と題した図録で、同じ形式で毎年作り続けて5冊目になります。東京銀座のギャラリーせいほうでの個展も5回目になります。慣れたと...
  • お礼状の郵送
    個展に来ていただいた方々へお礼状を出すことにしました。芳名帳からピックアップして数十人の方々に郵送いたします。とくに今回のお礼状は自分から案内を送った方々に限らせていただいています。個展を開催する際に、案内状、図録、お礼...
  • 個展の評檀より
    ビジョン企画が出版している新報に今年の夏にやっていた展覧会の評論が掲載されていました。フェルメール展を初めとする特別企画展から東京各地の個展までの寸評があって、自分の個展は彫刻部門の中ごろにありました。「焼き締めの陶彫に...
  • 京都 1年ぶりの再会
    京都には滞欧時代によく遊んだ版画家の渡辺聖仁さんが住んでいます。昨年は久しぶりに会って旧交を温めましたが、今年は1年ぶりの再会です。まず自分の図録を渡して個展の報告。すると渡辺さんも11月に名古屋で個展の計画があると返答...

Comments are closed.