ケーテ・コルヴィッツの肖像

暑い作業場から空調のきいた自宅に戻ると、疲れがどっと出るのですが、この夏は読書も欠かさずやっています。ちょうど読み終えたのが志真斗美恵著による「ケーテ・コルヴィッツの肖像」です。あわせてコルヴィッツの日記も読んでいるので、2冊を行きつ戻りつしながら、まずは表題の本を読み終えました。学生時代に衝撃を与えられ、自分の木版画作りのきっかけになったドイツ人画家ケーテ・コルヴィッツ。ただ自分には政治色のある社会派作品の中で生命を謳いあげるコルヴィッツの表現が、理解できても感受することができず、その頃の木版画は途切れてしまいましたが、今までコルヴィッツの直接的に働きかけてくる生命に対する強い表現にずっと関心を寄せていました。この本でコルヴィッツの生育歴や家庭環境、仕事に臨む時の真摯な姿勢が伝わってきて、作品そのものの理解も深まった気がしています。戦争の時期に生きた女流画家。母として妻として、または社会参画する芸術家としての生きざまがよく描かれていました。               Yutaka Aihara.com

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