柱に彫り続ける抽象

今日も暑い作業場で杉の柱と対話するように彫っています。あらかじめ寸法を決めておいた菱形の形態を繰り返す荒彫りをしていきます。どうも以前ブログに書いたブランクーシの「無限の柱」が頭にあって、基本はまずそこから始めるといった具合です。ブランクーシの「無限の柱」のモテーフは、彼の出身地ルーマニアの伝統的な建築物から想を得ています。自分もパリに保存されているブランクーシのアトリエを見た後、紀行作家のみやこうせいさんに連れられてルーマニアに行き、ブランクーシの造形の原点を見てきました。そんな20代の記憶があって、彫刻を考える上での基本的形態をいつもブランクーシにしているのです。実際、繰り返される抽象形態はとても美しく、無限に上昇していくようです。今制作中の「構築〜起源〜」はそんな上昇する柱が無数に大地から立ち上がるイメージです。蒸し暑い作業場で、そんなブランクーシやルーマニアの木造民家のことを思い描くと、頭の中がスッキリしてくるから不思議です。                   Yutaka Aihara.com

関連する投稿

  • 「文化的総合」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第6章 タヒチからマルケーサスへ(1895~1903年)」の「2 […]
  • 「初期作品ーさまざまな試み」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第1章 初期の彫刻(1877~1885)」のうち、今回は「2 […]
  • 飛躍の6月を振り返る 今日で6月が終わります。今月は7月個展のために図録を作成し、案内状も自宅に届きました。個展に出品する作品の梱包を始めていて、現在は陶彫部品を収納する木箱の製作に追われています。木材を調達しながら木箱 […]
  • 週末 土練り&彫り込み加飾 やっと週末になりました。今週はウィークディの仕事の休憩時間を使って、論理学の書籍を読み続け、NOTE(ブログ)に読んだ箇所の引用文章を毎晩掲載していました。よく読み込むと難解と思われるところも意外に […]
  • 創作一本の4月制作目標 基本的に毎日制作が可能な4月からの制作目標を、例年の慣習に従って立てていきたいと思います。毎日制作できるとなれば陶彫部品を集合させる新作は完成できるのではないかと思っています。今年7月に開催するギャ […]

Comments are closed.