「クレーの旅」を読んで

新藤信・文「クレーの旅」を読みました。写真図版が多く旅のイメージが捉えやすい冊子です。クレーに限らず芸術家が旅で得る情報、体験がいかに大切なものかがよくわかりました。クレーの場合は、北アフリカのチュニジアで目のあたりにした色彩がその後の作品に影響を与え、またヨーロッパ的な絵画技法から離れていこうとする意思が感じられます。不思議な文様のような、また記号化された形象が培われたのは、まさに生まれ故郷ではなく、旅で出合った風景やその印象であったと思っています。自分の場合も昔住んだヨーロッパの旧市街の影響が作品作りに欠かせない要素として、ずっと脳裏にあります。そろそろ作品を展開したい欲求に駆られています。クレーのような有効な旅をしたいなと考えるこの頃です。 Yutaka Aihara.com

関連する投稿

  • 再開した展覧会を巡り歩いた一日 コロナ渦の中、東京都で緊急事態宣言が出され、先月までは多くの美術館が休館をしておりました。緊急事態宣言は6月も延長されていますが、美術館が漸く再開し、見たかった展覧会をチェックすることが出来ました。 […]
  • 横浜の「バンクシー展」 横浜駅に隣接するアソビルで開催されているバンクシーの全貌を示す展覧会は「バンクシー展 […]
  • 週末 土台作り&美術館散策 週末になりました。新型コロナウイルス感染症で緊急事態宣言が出ているにも関わらず、気持ちのモチベーションを保ちたくて、今日は地元にある横浜美術館へ出かけてしまいました。早朝は工房に行き、新作の土台作り […]
  • 橫浜の「エッシャー展」 既に終わってしまった展覧会の感想を述べるのは恐縮ですが、旧知の作品が多い有名な版画家の印象を改めて書きたいと思いました。オランダ人版画家M・C・エッシャーの作品を、私がいつ頃知ったか今も鮮烈に覚えて […]
  • 社会の鬱積からの解放 武蔵野美術大学美術館で開催中の「スタシス・エイドリゲヴィチウス展」を見て感じたことは、国家が社会主義体制にあった時代に、その鬱積から心を解放したいと願って、密かに作品を作っている芸術家の姿でした。そ […]

Comments are closed.