横浜の「佐伯祐三展」

会議と会議の合間に横浜駅にあるデパートに立ち寄って、そこで開催されている「佐伯祐三展」を見てきました。かなりまとまった油彩があって充実した内容でした。いずれの油彩も旧友に会ったような懐かしさを覚えました。高校時代、自分は佐伯祐三が大好きで、ペインテイングナイフで素早くタッチをつける佐伯祐三ばりの油彩をよく描いていました。佐伯祐三を通してユトリロやヴラマンクに興味を持ったことが思い出されます。佐伯絵画はやはりパリの街角の、時に憂鬱な雰囲気を醸している情景が何ともいいのです。日本の風景はやはり体質に合わないと見えて、一生懸命に描いたであろう下落合の風景や帆船も秀作とは思いますが、パリのカフェの踊るような筆遣いにはかなわないと感じます。壁の表情、落書きのようなポスターの文字、時に骨太な線が現れ、遠近をギクシャクさせて独特な空間を作り上げる佐伯絵画は、石造りの建物が並び、雲がたちこめて暗いパリの空に本当によく合います。今日は自分を振り返る展覧会鑑賞だったと思いました。       Yutaka Aihara.com

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