作品が完成する時

木を彫る行為の蓄積で作品が必ず完成に近づくと信じて、今日も鑿を振るっています。私の作品は初めにイメージがあって、それが完成された状態を示しているので、そのイメージに近づくために、各パーツに分けて日々の作業ノルマを課しているのです。作業工程の中でどんな状態になった時に完成という判断をするのか、そこがなかなか難しいところです。パーツを作りなおすこともあります。大きな構成からやり直すこともあります。初めのイメージを確認しながら、大鉈を振るう時はかなり勇気の要ることもあります。詰めの作業は自分との格闘になり、時間が許せばいつまでも果てしなく続くのかもしれません。展覧会搬入という外的要因で、ここまでというラインを引き、一応完成という判断を下すというのが、作品完成に関わる偽りの無いところです。でも本当の意味で作品は完成しているのか、つまり自分で納得ができているのか疑問に思う時がしばしばあります。そう考えると永久に完成はやってこないのかもしれません。過去の作品もすべて完成していると自己暗示にかけて、無理に断ち切っているとも言えます。          Yutaka Aihara.com

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