「見る」と「見つめる」

自分の視界に入ってくるものを何気なく見ているのは日常のことで、よほどの注意を払わなければ、ただ呆然と見ていることが多いと思います。あの日あの時間に何を見ていたか、よく思い出せないこともあります。人の記憶は曖昧なものです。ところが「見つめる」という行為は造形表現に結びつくことがあります。あらかじめ表現しようとする意思が働いている場合はなおさら観察に熱が入ります。感動した風景や人物、現象の美しさ。そうしたモノを「見つめる」行為で自分の思いが入り、「見つめる」以上の「見つめ方」をして、心の目で「見つめる」対象を捉えて記憶を再構築したくなります。表現の第一歩はそこから始まると言っても過言ではありません。「見つめた」モノを何かに置き換えて作ってみたいというのが創作行為です。記憶の断片を頭の中で篩にかけて抽象化していく過程が面白いと感じる今日この頃です。                               Yutaka Aihara.com

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