構想と素材の関係
2008年 4月 6日 日曜日
眼の中で、また脳内で、素材との制約を解かれて「何か」を探りたいと欲求することがしばしばあります。彫刻家なら誰もが一度ならず感じることがあるかもしれません。しかしながら構想するときは素材との関係抜きには考えられないのが現状です。まず陶土ありき、木材ありきとして作品の構想を練るのは得策ではありません。自分の中に沸き起こる造形への衝動が素材を伴うものであっては駄目だと思いつつ、常に素材から解き放たれることのない自分の性分を受け入れられない理念的な自分がもうひとり存在しています。「何か」を構想するときに、もうひとりの自分と対話して折り合いをつけることが「何か」を作品化する第一歩なのです。漠然とした「何か」はどこから沸き起こるのか定かではありませんが、自分が現在まで生きた経験の中で培われたものであることに変わりはありません。潜在する欲求なのか、理想郷なのか、そこに素材が入り込んで構想と一体化してしまうのです。素材に振り回されることのないように注意深く思索しても、素材のもつ磁場に引かれていってしまいます。 Yutaka Aihara.com
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Tags: 作品, 木材, 陶土
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