ムア・防空壕の素描

彫刻家が描くドローイング(素描)には傑出したものが数多くあります。ヘンリー・ムアの描いたドローイングの中でも、第二次大戦中に地下鉄の防空壕に避難した人々を描いた一連の作品は完成度の高さから言っても、世界最高の素描のひとつであることは間違いありません。自分は学生時代に美術館で見て、たちまち虜になってしまいました。人々が横たわる地下鉄構内は異様な雰囲気が漂い、黙して語らぬ群集がこうあってはならないと、表現として雄弁に語っている声が聞こえてくるようです。しかもムアの彫刻的イメージと結びついて、いずれ立体としても作れそうな描写です。当時20代の自分はドイツ表現主義の木版画に打たれ、こうしたムアの素描にも打たれて、生命の尊厳や激しさを求めていたのかもしれません。          Yutaka Aihara.com

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