キーファーの巨大絵画

現代ドイツ絵画を代表する画家にアンゼルム・キーファーがいます。何年か前に箱根の「彫刻の森美術館」でキーファーの個展がありました。美術館にある絵画館で高い天井まである壁一面に掛けられた巨大絵画の数々が、観る者を圧倒していました。自分もその一人でキーファー芸術の持つ迫力、存在感に魅せられていました。風景画と呼ぶにはあまりにもスケールが大きく、広大な大地を様々な廃材や炭化した木材、麦わらの束を付着させて表現していました。歴史という時間が凝縮されたような風景画でした。またドイツが戦争で負った闇の遺産とも言うべきテーマも白昼にさらけ出すような表現もありました。そうしたものを全て含めて、ドイツの現実と向き合って制作している姿勢が伝わりました。大戦前にドイツ表現主義が独裁者によって頽廃芸術として扱われ、大戦後もしばらく後遺症に悩んだドイツ画壇に対し、キーファーは新風を吹き込んだ作家ではないかと思います。        Yutaka Aihara.com

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