カルダーの浮遊空間

アメリカの彫刻家にアレキサンダー・カルダーがいます。モビールを考案した巨匠です。カルダーのモビールを知ったのは学生時代ですが、その頃は自分は量感のある具象彫刻を作るにはどうしたらいいのかをずっと考えていました。師匠の池田宗弘先生の作り出す真鍮の彫刻は量を削ぎとって、思い切り空間を意識した造形でした。そんな対極にある師匠の造形に憧れ始めていた頃に、さらに衝撃的だったのがカルダーのモビールでした。針金によって宙吊りされた鉄の板がゆらゆら揺れている様子は、風によってカタチが変化して、見ているこちらも軽やかに空間と遊べるような錯覚に陥りました。板に施された鮮やかな色彩も瀟洒な感じがしてモダンでした。カルダーは若かりし頃、針金で小さなサーカスを作って遊んでいたことを知り、彫刻領域の広さを感じました。造形には遊びの要素が大切と今でも思っています。  Yutaka Aihara.com

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