ドイツ映画「メトロポリス」

フリッツ・ラング監督の残した近未来映画で、現在でもレンタルビデオショップにあります。昨日のブログに書いた「カリガリ博士の箱」と同じドイツ表現主義を代表する映像作品です。20数年前に滞在したウィーンの映画館で初めて「メトロポリス」を見ました。「カリガリ博士の箱」も「メトロポリス」も無声映画でしたが、見た当時は説明の字幕が全て理解できず、映像でしかストーリーを捉えることができませんでした。それでも地上に住む資本家と地下で働く労働階級の矛盾を描いたものであることはよくわかりました。とくにこの映画のもつ映像の美しさ、ビジュアルデザインは自分の心に響きました。都市空間や工場の歯車に至るまで現在自分が制作している陶彫「発掘シリーズ」に通じるものがあります。機械的な美しいカタチをもつ女性ロボットの登場はとても印象的でした。資本主義VS共産主義ともとれるこの映画の主題は大きな波紋を呼んだと何かの本で読んだことがあります。

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