動物画による表現主義

ロシア人画家カンデインスキーについては度々ブログに書いてきました。当時進歩的だった刊行物「青騎士」についても触れたことがあります。「青騎士」の翻訳が出版され、さっそく読んで感想を述べたこともあります。(07.7.25)ところでカンデインスキーの絵画はよく知られていても、その協力者であり、表現主義の推進者でもあったフランツ・マルクの絵画は日本ではほとんど見る機会はありません。自分もヨーロッパ滞在中に、たしかミュンヘンの美術館で見たような気がしていますが、意識してはいませんでした。キルヒナーのようにそこで感銘を受けたわけでもありませんでした。ただ今思い返してみると、原色に近い色彩で彩られた動物と一体化した背景が何となく印象に残っていて、あれがマルクの絵画だったのかと思うばかりです。もっとじっくり見ておくべきだったと後悔していますが、いずれまた海外に出かけていって、マルクの世界を味わおうと思います。

関連する投稿

  • 「クレーの日記」再読開始 このところ書店で新しい書物を買うことはせず、自宅の書棚に眠っている数々の書物を取り出して再読することにしています。その中にはもう既に書店で売られていないものもあって、今となっては貴重な本があるかもし […]
  • 「シャガール」展 夢と前衛 先日、東京上野にある東京芸大美術館で開催されている「シャガール」展を見てきました。副題に「ロシア・アヴァンギャルドとの出会い~交錯する夢と前衛~」とあるように、展示内容はシャガールの絵画だけでなく、 […]
  • 偶然が生んだ異国の街 2006年10月19日付のブログ「ムルナウの短い夏」にある通り、自分が初めて海外に出かけて辿り着いた街がドイツのムルナウでした。当時はまだドイツが東西に分断されていた時代なので、正確には西ドイツのム […]
  • 芸術家宅を訪ねる随想 「瀧口修造全集1」に収められている「ヨーロッパ紀行」の中に、ダリを訪ねた時の随想が載っています。アトリエの中の描写やダリの人柄に、ほんの少しばかり親近感が持てるような気になります。スペインの海辺のア […]
  • P・クレーに纏わること 愛読している「瀧口修造全集1」の中に、パウル・クレーに纏わることが出てきます。瀧口修造がパウル・クレーのご子息に会いに行き、そこで出会った様々なことが述べられていて、それらをとつおいつ読んでいるとそ […]

Comments are closed.