異文化がもたらすもの

クレーのチュニジア旅行のことをブログに書いていたら、自分の過去を再び思い出してしまいました。このブログに何度となく書いているウィーン滞在のことです。1980年から5年間暮らしたヨーロッパの古都は、今の自分の感性や思考を形成する上で大きな足跡を残し、その財産で今も作品を作り続けていると言ってもいいかもしれません。昨今多くの日本人が海外に出かけ、見聞を広めたり、レクリェーションに興じたりしています。自分も気楽に行くつもりが、滞在は5年間になり、その中で彫刻を学んだりしました。自分は渡欧前から創作活動の真っ只中にあり、「自分自身の表現とは何か」「自分は何をするべきか」という課題を抱えてヨーロッパに出かけたので、その影響も大きかったと思っています。異文化に触れる時は、自分がそれをいかに受容できるかで、その後の自分のあり方が変わってきます。クレーのチュニジア旅行も自分のウィーン滞在も作家のレベルこそ違えど同じ質のものではないかと理解しています。

関連する投稿

  • ウイーン回想から始まる1年
    昨夜、NHK番組からウィンナーワルツが流れてきました。恒例のオーストリア国営放送局が衛星で流している「ウイーン・ニューイヤーコンサート」の模様です。自分は毎年この時期にこの番組をブログで取り上げています。理由は1980年...
  • 芸術家宅を訪ねる随想
    「瀧口修造全集1」に収められている「ヨーロッパ紀行」の中に、ダリを訪ねた時の随想が載っています。アトリエの中の描写やダリの人柄に、ほんの少しばかり親近感が持てるような気になります。スペインの海辺のアトリエは理想的な環境だ...
  • 幻想画家論
    ボッス、グリューネウァルト、ピエロ・ディ・コジモ、ラ・トゥール、ルドン、ゴーギャン、アンソール、ムンク、スーティン、クレー、エルンスト、デュシャン…「瀧口修造全集1」に収められている幻想画家論で取り上げている芸術家です。...
  • 世紀末のアパート
    21世紀の現在から言えば、20世紀末も19世紀末も同じ世紀末となります。表題は19世紀末を指しています。ひと昔もふた昔も前のことですが、この時代が情緒として生きている街がウィーンなのです。ウィーンは1980年から5年間自...
  • 「石」という素材
    オーストリアのウィーンで暮らし始めた頃、生活費を稼ぐため石彫のアルバイトをしていました。ハンス・ムーアという彫刻家がウィーン郊外に工房を持っていて、彼のデッサンをもとに鏨や電動カッターで石を切り出す仕事でした。ハンス・ム...

Comments are closed.