「ロダンの言葉」の再読

自分の手許に古川達雄訳「ロダンの言葉」があります。黄ばんだ粗末な冊子です。昭和17年8月5日初版発行(1500部)とあり、当時の定価は2円80銭。二見書房から出たものです。たしか自分が学生時代に神田の古本屋で見つけて購入したものかもしれません。家にずっと前からあるようなものではないと思います。一度読んで、その文語調の読みにくさに辟易した記憶があるので、自分が塑造を学んでいる時代に読んでみたいと思ったのでしょう。今一度読み直すと、埃の臭いとともに格調高い文体が新鮮さをもって現れてきます。彫刻家であれば、何度も読み返す書物なのだと認識しました。内容はポール・グゼルがロダンにいろいろな問いかけをして、ロダンの発した言葉をまとめたものです。彫刻を含めた芸術における真理探究が語られています。今も普遍なものばかりです。秋の夜にこんな書物を再読するのもよいと感じました。                        Yutaka Aihara.com 

関連する投稿

  • 「中空の彫刻」読後感 「中空の彫刻」(廣田治子著 […]
  • 「《逸楽の家》」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第6章 タヒチからマルケーサスへ(1895~1903年)」の「3 […]
  • 「結語」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「結語」の「1 木彫と陶器」「2 親密な環境における彫刻」「3 […]
  • 「状況-思考の神秘的内部を表すこと」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第6章 タヒチからマルケーサスへ(1895~1903年)」の「1 […]
  • 「文化的総合」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第6章 タヒチからマルケーサスへ(1895~1903年)」の「2 […]

Comments are closed.