ウィーンの記憶再び
2007年 9月 7日 金曜日
台風が過ぎても、相変わらず湿気のある日が続いています。早く空気が乾燥して澄みわたる日が来ないかなと心待ちにしています。昨年のブログをもう一度読み返すと、やはり20数年前に住んだウィーンに思いを馳せている自分がいます。ウィーンは9月には紅葉が始まり、黄色く色づいた並木が街に郷愁と憂いをもたらし、その雰囲気は(独身の頃はかなり応えましたが)芸術を勤しむのに絶好の機会と感じていました。秋になると必ずウィーンの情景が目に浮かぶのです。でもその頃の自分は迷ってばかりで、作品も納得がいかず、ヤル気が空回りしていました。今思えば充電期間。情報を集めつつ感覚を磨く時代。素敵な環境にありながら何も出来ない虚しい時間。そんな記憶まで甦ってきます。これは遠い記憶とは思えません。今ウィーンにいたらどうなのか。乾燥して澄みわたる空気の中で、何をやっているのだろうか。そんな思いに駆られながら、湿気の多い作業場でひたすら制作する自分がいます。 Yutaka Aihara.com
関連する投稿
- 週末 小さな球体作り 今日は朝から工房に行って制作に没頭しました。平面的な新作に設置する10個の球体陶彫のうち、成形は8個完成し、そのうち3個に彫り込み加飾を施しました。球体陶彫は小さいので、彫り込み加飾に手間がかかりま […]
- 人体塑造からの転位 Ⅱ 先日のブログ「人体塑造からの転位」の続きです。現在自分の彫刻作品は、ロシア人画家カンディンスキーが提唱した非対象という意味で言えば非対象でも抽象でもありません。形態の基本となる要素を抽出している点で […]
- 2014年の抱負 2014年になりました。今日だけは工房に行かずに過ごしました。例年通りの元旦で、朝は母の実家で雑煮を食べました。昼には家内と東京赤坂に初詣に出かけ、家内安全、身体堅固、芸道精進の祈祷をしてもらいまし […]
- 芸術家宅を訪ねる随想 「瀧口修造全集1」に収められている「ヨーロッパ紀行」の中に、ダリを訪ねた時の随想が載っています。アトリエの中の描写やダリの人柄に、ほんの少しばかり親近感が持てるような気になります。スペインの海辺のア […]
- ドイツ映画「メトロポリス」 フリッツ・ラング監督の残した近未来映画で、現在でもレンタルビデオショップにあります。昨日のブログに書いた「カリガリ博士の箱」と同じドイツ表現主義を代表する映像作品です。20数年前に滞在したウィーンの […]
Tags: ウィーン, 作品, 制作
The entry 'ウィーンの記憶再び' was posted
on 9月 7th, 2007
and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.