「点・線・面」より訳者解説について

西田秀穂訳によるカンデインスキー著「点・線・面」を読んだ感想としては「バウハウス」時代のの教材研究のひとつとして書かれた内容が、今でも新鮮さを失っていないことに気づいたことです。ただ内容は内容として理解したものの、実の面白さは別のところにありました。訳者解説がとくに面白かったのです。それはカンデインスキーの生きざまが身近に感じられたことです。訳者の「覚書」の中で「ドアを挿んで9年間、壁を挿んで7年間」カンデインスキーとクレーが住んでいた様子が描かれ「家の前には、それぞれ、カンデインスキーとクレーとの、丹精をこめて造った小さな庭があった。とくに区別する柵のようなものはなかったが、少しずつ違った鍬の入れ方をした二つの地所の間には、眼に見えぬ柵でも立っているようだった。」というエピソードが綴られています。そうした何でもないところに両家の交流が感じられ、それらをいろいろ想像をして楽しい気分になりました。芸術家・教育者として一流のカンデインスキーやクレーですが、隣同士の住居もちょっと覗いて見たくなりました。                        Yutaka Aihara.com

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